京のまちづくり史セミナー 第6回京の緑の庭めぐり(2) −想いを継承し進化させる作庭− 講師:小川勝章氏(作庭家、造園
植治) 開催日:2012年1月21日(土) 会場:京都会館、平安神宮神苑 |
作庭家の小川勝章氏をお招きして、京都の庭園文化に受け継がれてきた作庭の技術や精神についてお話いただきました。また生憎の雨も恵みの雨、平安神宮ご神苑にて、庭園や建物での立ち位置や視点を意識して、庭園との対話を愉しみました。 庭造りとは元々地球にあったものを用い新たな地球を造ることです。庭園のそれぞれの要素を繋げて一体としていくことが大切です。樹や石や水のみならず、人の心を繋げる事こそが何よりも求められます。樹を植えたり石を据えたり水を流したり山を造ったり、生きているものを有難い素材として、自然への憧れを庭園に託しているのです。 自然の樹は太陽に向かって高く伸びて、太陽ばかりに見せている良い表情が人の視点からは見えません。高い枝葉を剪定して下枝に光を当てると、人の目が届くところで樹がにっこり笑うようになります。 飛び石も見ているだけで「渡ってみたい、歩いてみたい」という雰囲気が大事です。その石の風合いや雰囲気によって、人の体や心、そして目線が誘導されていくのは誠に不思議な感覚です。プラカードがなくても、石の上に立てば「ここから見て下さい」と全て教えてくれるのです。 人間関係と同様、庭園も愛してみてもらえれば嬉しいはずです。手間暇をかけた交流を通じて、ただの花や庭園ではなくなっていくのです。家と庭で「家庭」という言葉が表現されるように、美しい庭園には掛替えのない想いや出来事が沢山託されています。 |
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