京都「植治」水の庭園巡りと町家見学
(9/23〜24 京都市)


年1回訪れる京都も今年で3回目になる。田舎の学校の”「住む」を考える講座”では環境に配慮した住を考え、その一環として京町家を訪ねている。今回は夏しつらえの町家と水を活かした植治の庭を組み合わせ、そろそろ涼しくなり始めた時期を選び訪れた。
初日は京都で造園業を営む「植治」11代目小川治兵衛氏をお迎えして、天才と言われた7代目治兵衛が作った 「無鄰菴」の庭と、11代目が関わっている「洛翠庭園」についてお話と見学案内をしていただいた。
1864年の「蛤御門の変」で京都の町は3分の2を焼失し、遷都と共に天皇も東京に行き、人口減と不況に陥る。京都府庁は、京都を復興させる打開策の一つとして琵琶湖から水を引き入れ、生活用水や水力発電に利用する「琵琶湖疎水」事業を行う。明治27年以降、7代目はそのあまり水を使って、それまでの枯山水などの庭とは異なる開放的な明るい庭、平安神宮、円山公園、無鄰菴など多くを作庭する。
まず、「洛翠庭園」に集合して11代目治兵衛氏のお話。「庭は作庭した時で終るのでなく、常に新しい試みをする。庭は生き物です。」というのが印象的。この庭は7代目が作庭したが、一たん植治の手から離れ、50年ぶりに11代目により手が入り蘇った。琵琶湖を模した池は疎水から水を引き入れ、きれいな流れを作っている。
「無鄰菴」は山形有朋の別邸で7代目の代表作であり、植治流の原点。山形公の希望@芝生の明るい空間を作る A木を多く使う B琵琶湖疎水を取り入れることの3点を中心に作庭される。
「並河邸」は7代目植治が琵琶湖疎水を七宝作家並河靖之の個人宅に引いたデビュー作。11代目の長男勝章さんが案内して下さる。七宝の研磨に使用する水をふんだんに邸内に取り入れた。
<洛翠庭園>


<無鄰菴>

翌日は、町家を2軒訪ねる。下京区の「秦家」はもと薬の製造販売業、中京区の「吉田家」はもと白生地卸商だった。商いをする棟と住居棟が奥に細長く続く表屋造りになっている。蒸し暑い夏を過ごす工夫が随所に見られる町家。6〜7月になると、建具類を夏しつらえに入れ替える。襖や障子をはずして、風通しのいい竹製の戸やすだれに替える。
<秦邸>


<吉田邸>



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